口コミ、SNS、予約台帳は集客に関わる一方、アカウント規約や個人情報の扱いにも注意が必要です。承継可否を個別に確認するための論点を整理します。
集客資産を、名義と利用権限から整理する
SNS、予約サイト、口コミページ、自社サイト、ドメイン、写真、メニュー画像を一覧にします。契約者、管理者、連絡先、支払先、利用規約を記し、会社と個人のアカウントを分けてください。フォロワー数や評価だけでなく、予約や来店へどうつながるかを確認します。掲載情報を維持したい場合も、サービスの手続きや規約を先に確かめます。
写真、ロゴ、文章には、店主が作ったもの、外部へ依頼したもの、第三者が投稿したものがあります。使用を続けられる範囲を契約等で確認し、全て店の所有物として渡さないようにします。パスワードを共有するだけで完了と考えず、管理者の追加・変更、二段階認証、復旧連絡先、旧担当の権限終了を工程に置いてください。
顧客情報は、目的と交渉段階を区別する
個人情報保護委員会のガイドラインには、事業承継に伴う個人データ提供の扱いと、承継前の利用目的の範囲に関する規定があります。事業承継だから何にでも使えるわけではありません。予約台帳の氏名、連絡先、利用履歴等について、取得時の目的、買い手が必要とする情報、承継後の用途を整理し、個別の判断は専門家と確認してください。
交渉段階で個人データを提供する場合も、安全管理の取り決めが必要です。ガイドラインでは、利用目的・方法、漏洩等への対応、交渉が不調に終わった場合の措置等を契約で定める扱いが示されています。初期打診では集計情報で足りるかを検討し、詳細が必要になった段階で、提供先、権限、保管、削除等の条件を確認します。
予約と発信の切替を、営業日程へつなげる
仮定の例で、引渡し後に行う20件の宴会予約があるなら、日時、人数、メニュー、前受金等を照合し、必要な顧客情報を管理して引き継ぎます。過去の全来店履歴を無条件で渡すのではなく、目的と必要性を確かめます。旧予約への返信と、新予約の受付を誰が担当するかを決め、個人の端末やメールに情報が残る場合の対応も整理してください。
SNSの告知、営業時間、予約リンク、入金先を同じ日程で更新し、予約を試して流れを確認します。記録するのは、対象アカウント、権限変更、確認結果、旧担当のアクセス終了です。口コミやフォロワーが将来売上を保証するものではありません。デジタル資産の見た目の規模と、買い手が適切に使い続けられる条件を分けて説明することが大切です。
制度の確認資料:個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」。個別の手続きは所管窓口・専門家へ確認してください。

